戦時下最大の言論弾圧事件、「横浜事件」。横浜地裁が元被告5人について、遺族に刑事補償を支払う決定を下した。5人の名誉は、事件から68年ぶりに回復された。
実質的な「無罪」判断である。
6日付の毎日新聞は社説で、この決定について:
遅すぎたとはいえ、自浄能力を発揮した判断だと評価しつつ、横浜事件は、戦前から続いた政府の言論統制がピークに達した時に起きた。決定は弾圧の実態を詳細に記し、本来それを救うべき司法が機能しなかった経緯にも触れている。
言論統制を再現させないためにも、なぜ事件が起きたのか検証は不可欠だ。歴史の清算の点からも意味のある決定ではないだろうか。とはいえ、最初の再審請求が行われてから24年である。
元被告は全員が亡くなっている。遅すぎた決定までの道のりを裁判所は改めて反省すべきだ。
とした。
朝日新聞も7日付の社説で:
北海道新聞は6日付の社説で:
足利事件や布川事件、富山氷見事件など最近も相次いで表面化している。裁判員裁判で今後は多くの国民が刑事裁判にかかわる。冤罪を生まないためには推定無罪の大原則と、正確な事実認定が何より求められる。
西日本新聞も6日の社説のタイトルを、「横浜事件 『過ち』を歴史に刻みたい」として:
横浜事件は終戦前後の混乱期に起きた旧憲法下の言論弾圧事件ではある。しかし、虚偽の自白を強いて冤罪(えんざい)を生んだ事件は近年も繰り返されている。 今回の決定は、その意味で「横浜事件とは何だったか」を問うだけでなく、現代の捜査・司法への警鐘でもある。
琉球新報に7日付社説が:
社説:横浜事件 やっと司法が「清算」した(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20100206ddm005070113000c.html
横浜事件─やっと過去と向き合った(朝日新聞)
http://www.asahi.com/paper/editorial20100207.html#Edit2
横浜事件無罪 被告に聞かせたかった(北海道新聞日)
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/214168_all.html
横浜事件 「過ち」を歴史に刻みたい(西日本新聞)
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/150953
横浜事件「冤罪」 司法の責任を問い直せ(琉球新報)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-157074-storytopic-11.html